大学の教室では、今も古・新モンゴロイドという語が使われていますが、それは欧米学者によるコーカソイド、モンゴロイド、ネグロイドといった人種分類によります。
その元は、200年前のドイツの動物・人類学者ブルーメンバッハの5分類、コーカシア(白人種)、モンゴリカ(黄色人種)、エチオピカ(黒人種)、アメリカナ(赤色人種)、マライカ(茶色人種)です。
その後、欧米学者が、東南アジアのマレーでなくモンゴルをアジアの代表にしたのは、人口数のためか、はたまた彼らの心胆を寒からしめた印象深いチンギスハンのためなのかは分かりません。
現代から見てもエチオピカは鋭い分析ですが、下図のとおり、出アフリカ黒人が、そんな短距離のコーカサス地方でコーカシア白人になる訳はなく、聖書のノアの箱舟が見つかった(これ自体、ウソ)という理由です。
更に、この白人が基本であって他は退化したものという酷い認識でした。
ハッキリしているのは、インド、マレー地域の「インマレイド」で、出アフリカの痕跡が今もネグリトやアボリジニに残っています。
問題はモンゴロイドで、出アフリカ後にホントに徐々に変化して黄色人種になったのか疑問であり、その移動経路上に痕跡は全くありません。
インマレイドが、モンゴロイドになった(A”)とも考えられるのです。
我が国は、あくまでもインマレイド系(A’)の基盤の上に、時代が下ってB-1、B-2が加わったものですが、あたかも3者同時・同等混合のように誤解を招く図も見られます。
話題の長江稲作文化、日本語との共通性が言われるタミル語、あるいは人が近しいというチベット、雲南なども皆、インマレイド系であり、驚くに値しません。
その後のB-1渡来の影響は大きく、北部に限られたB-2の影響もありますが、現代に至る人々の文化はインマレイド系が根強いです。
それはやはり、4万年という長い日本史の90%を超える期間に受け継がれたものはそんなに変わらないからでしょう。
独特の言葉、入って来た文字も仏教も欧米文化も変容させ、キリシタンを限定した根強い「日本教」基盤の厚みがありました。
国の組織などは兎も角、人々と心理は先ず「インマレイド」を基礎に考えましょう。
近年、ハーバード医科大が、アマゾン流域の古い部族に「インマレイド」を発見して、世界を驚かせていますが、日本列島を経て渡って行った可能性が十分あるのです。
アジア人として、もう、何でも古・新モンゴロイドと言うのはやめようと世界の学界に言いましょう。
(了)