4万年前の始まりの日本祖人を探るのは容易では有りませんが、日本人は虫の声が聞けることから人類史の不思議に迫れ、そのことがまた、日本祖人の理解と確認に繋がります。
世界でコオロギや鈴虫などの虫の声を、雑音ではなく声として右耳から受け止め左脳で言葉のように聞いてる、聞けてるのは、実に不思議な事に世界で日本人とポリネシア人だけなのだそうです。(東京医科歯科大学の名誉教授・角田忠信先生)
チンチロ チンチロ チンチロリン あれ 鈴虫も鳴き出した ああ おもしろい 虫の声 -こんな変な事を言うのは日本人くらいで、他所では気にも留めない、どうかすると殺虫剤でも持ってこようかという対象です。
さて問題は、何故、ポリネシアなのかなのです。
現生人類は、出アフリカの後、東進してSundaland、そしてその方向でオーストラリアへと北上して日本へと、展開を続けました。
このSundalandが、アジア史における「補助線」でして、大半島陸地が2万年前頃から温暖化の海水面の上昇で沈み始め、1万年前頃には過半が沈み、インドネシアの現在のようなバラバラの島々になりました。
第1図
その東方を含めたSundaland地域は、①出アフリカ後の重要地域で今も痕跡が残っており、②特に5千年前頃、中国南部から大きな人の南下移動があり、はっきり混血が進みましたので分かりにくくなっていますが、百万年前のジャワ原人以来の恵まれたと言っていい地域なのです。
さてポリネシアは、よく古い人類の移動に関する問題で話題となります、例えば米西海岸ワシントン州で発見された9千年前頃のケネウィック人を復元した際に、誰に似てるかでポリネシア人も名が上がりました。
しかし、上の図のように②で南下した人たちがSundaland地域に至り、ポリネシアへの展開して行ったはせいぜい3千年前頃からの新しいもので、端のハワイやあのモアイ像のイースター島は、紀元後7~900年前頃という最近のことなんです。
ここで、
1.南下した人たちは、中国南部・台湾からと言われてますが、彼らは欧米人などと
同じく虫の声を聞けてません。同じく南下を受けたインドネシア人も聞けてませ
ん。
2.何よりも途中通ったミクロネシア、メラネシアにもはっきり見つからない。
それでは何故?となりますが、先ず、補助線のSundalandに鍵があるでしょう。
出アフリカ後の①の人たちが、Sundalandを経て北上し、日本を通過して行ったわけです。
日本にも2万年前頃には、大陸から狩猟族の人たちが入って来て元の祖人と合わせて縄紋人となっていきますが、虫の声が聞けてるのは、それ以前の始まりの日本祖人の影響が大きな影響、即ち基層が残っているからだとなります。
そこで、虫の声を聞けていたのは①の時代だったのだろうとなります。
ポリネシア人の祖先は、その後の5千年前頃には南下して来てSundaland地域で混じって、更にミクロネシア、メラネシアの一部を経ていますが、上図の①移動時代のSundalandの痕跡をひとり今も残していると言う訳です。
これらは何故か?
日本もポリネシアも行き止まりの端の国々だから、①移動時代のものが残ったのだろうとなります。
世界でわずか2つの端の地域で虫の声が聞けるという事から、人類の移動、日本祖代の事、日本祖人と縄紋人・現代人など様々な事に思い至ります。
2万年前頃、大陸の狩猟族が北から、西から入っても、始まりの日本祖人の文化が失われず基層として、縄紋を経たその後も稲作族などが渡来してこようとも残ってきたことが重要です。
ところで此の虫の声が雑音ではなく聞けるという、この残った感性は何なのでしょうか?
それは自然を尊び、木々にまで神が宿るといった心性に繋がる大切な事で、生活、芸術、発明、仕事など万般の日本人らしさに及び、世界にとっても独特の意味ある事でしょう。
あ~、う~母音の、虫がチンチロリン、雨がしとしと、と教えてくれるお母さんに抱かれた母国語が決め手であって、DNAではないことが重要です。
お母さんは、わずかなGNPの押し上げなど比較にならない極めて重要な人です。
(了)