米ニューメキシコの①2.3万年前の足跡発見の衝撃は、北米遺跡の意義を薄め、行く途中や行き着いた中・南米に光が当たって来ています。
それでも、現在のアメリカ先住民に直結し、全米先史で基本となるクロービス石器文化を示すモンタナ州のAnzick幼児の人骨分析で、無氷回廊の出口にありながら太平洋岸からの初期移住系であり、西のコロンビア川で発見されたケネウィックマンも海獣食の沿岸系であることが注目され、また、中・南米へは、先ずは舟で沿岸を南下したと考えられています。始まりのアラスカへも、②2.5万年以前となれば、アジア人の寒冷適応のモンゴロイド化は未だで、また、巷間で言われているような数人が槍でマンモスハントすることは、否定されています。最新では、X::3万年以前の早い時期に細かった無氷回廊を南下した新説、Y:アリューシャンから沿岸を南米まで南下した説が出ています。問題は、③自明とされているシベリアから来た!ですが、実は欧米では、ヨーロッパから大西洋を越えて来たと言うソルトレーン説が一部に根強く、それとの比較論議で言われていたのです。初期アメリカ移住(Peopling of American Continent:PAC)者のDNAは単純ではないと分析されており、よく見ればA,B,Cの特色ある3ルートに分かれ、肝心の東部シベリア東端部では2.5万年以前の痕跡は見つかっていませんから検討されねばならないのですが、現在の主流はBとされています。
しかし近年、カムチャッカ南端スタート説も出ており、白滝黒耀石群が国宝に指定されることになる今、正に日本の理論的な研究が期待されているのです。これは人類史に貢献という事だけでなく、日本史、北海道史に関わる重要な問題なのですが、現状は周回遅れです。PAC問題の意義を生徒・学生に教え、挑戦を期待するものです。