日本に多いDNA母系のmt-Dが北・中米で見つからないため、最初のアメリカ人論議で日本人が、mt-Dが軽視されているのは大きな問題です。
南米への人類・最初のアメリカ人の移住は、豪州でもグリーンランドでもアフリカから直接でもなく、北米・中米からの南下(現代考古学の認識)です。図右、南米の希望の大地(藤井正夫)とも言われる陸の孤島的な南端パタゴニアに古いミトコンドリアD型が日本と同じように多く発見されていますが、南下して来た途中の北・中米には殆ど残存していません。他型が充満している所(北・中米)を、mt-Dが後から来てすり抜けて、あるいは南米で突然急激に拡がったとは考えられませんから北・中米では、居たけれども①一緒の仲間の中で、又は②後から来たmt-Dをあまり・全く含まない第2波に押されて消えて行ったなどが考えられ、mt-Dは「最初に」南米まで拡がった第1波であり、残存地を見れば陸の孤島的なためであったと考えられる事は、ユーラシア大陸に近い島国の日本と置かれた共通性があるのです。このことは重要で、後続の第2波、エスキモー・アレウトの第3波などの「最初のアメリカ人」構成の仮説に光を与えます。
そして日本列島の要素に注目すれば、印アンダマン諸島―南米のアンデス・パタゴニア・アマゾンという太平洋を隔てた①遠DNAの関係性が 痕跡の DNA分析から実証的に導かれ、人類史の謎である最初のアメリカ人の②時代を異にする3波の進入、アメリンド大語族などの3語圏という大区分の新・復活の仮説がムリなく理解できる事が重要 (北米大氷床の進入ルートがユーコン川沿いか北太平洋沿岸かは、熱い論議中) なのです。この流れの中の痕跡として、鳥居龍蔵が深く研究した北千島のコロボックル、遊動海民の留頓・ルートンは注目で、環境が似ているからと言えばそれまでですが、南米パタゴニアやペルー沿岸民(ミイラ人骨からの分析:篠田謙一 )の海獣を含む沿海食との共通性が民俗調査などで明らかになっています。 人類史におけるmt-D が、北・中米で 見つからない事こそが重要、これはミステリーを解く一つの原則ですから、生徒・学生に教え、世界に発信、国際共同研究で更なる深化を。 南米、北海道・千島への人類史探求の光ですが、この事は、日本人祖先の研究に関わりが大きいモノです。 始まりを理解せずして、その後の研究理解はアリエマセンので。