(“足跡”1周年) 米移住史の崩れ行く定説、新たな光を放つ米先住民の「言語」論!

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昨年9月末、米ニューメキシコでの2.3万年前の少年・子供などの足跡発見の衝撃は、米国史を数千年さかのぼらせて図左②定説を覆し、新大陸への移住について甲:①~③の「3フェーズ史観」を明らかにしたと言えるでしょう。

図左下第1フェーズは、①「米臨海」沿岸から舟で、足跡から考えて約2.5万年以前に北太平洋岸を進入して南下、約1万年以上の間にあの「足跡」を残し、拡がりました。そして、②氷河期が終わって温暖化し、氷床に通路が融けて開かれた「無氷回廊」が出現して、新たに東ユーラシアからやって来た強い狩猟族が南下して拡がって行きました。最後のフェーズは、③イヌイット(エスキモー)・アレウト族が主に北部に進入し、なんと出戻り種族もいたと考えられています。さて、人間にとってDNAより重要なモノは言葉・精神性・暮らしぶりです。もし、日系4世の人が、英語しか話せず、ハンバーガーやステーキの方が生魚の刺身より好きなら、どんなに姿形が私たちに似ていても彼・彼女は「アメリカ人」です。巷間の科学の装いをまとうDNA万能・決定論的なモノ言いは、是正されねばなりません。さて、半世紀以上も前に乙:Greenberg博士は、アフリカなどでの言語研究成果を踏まえ、南北アメリカ大陸に拡がる先住民の多様な500以上もある言葉を、新しいCイヌイット(エスキモー)・アレウト、B(内容に種々の異論もあり)ナデネを除けば、み~んな大半はAアメリンド大語族だと提唱して人々の度肝を抜きました。アパッチ、コマンチのNativeインディアンと南米のインディオの言葉が同類だと言うのですから。その後、言語学的には一部に異論が出され、誤りも指摘され、今ではある意味で打ち捨てられています。

しかし、2.3万年前の足跡発見の衝撃から、新大陸移住「3フェーズ史観」が考えられるようになると、G博士の説は驚くほどそれと符合して理解を容易にします。A最古第1フェーズ・アメリンドは、正に始まりの拡がり状況から納得です。ここで、日本の言語学泰斗の松本博士が、日本を含む西太平洋沿岸地域の言語と南北アメリカ大陸の北ロッキー山脈、南アンデス山脈東麓以西の言語は同祖・類縁の「環太平洋言語圏」を成す(東ユーラシアから渡米したもの)として、基本8、10を超える基本的な言語学ファクターで分析して「内陸ユーラシア言語圏」との違いを対比させ、2大区分しています。なお、かつて日本語について言われた、内陸のウラル・アルタイ語が日本祖語ではないことも実証的に違いを示しています。Greenberg博士の米先住民の言語に関するアメリンド論は、最新言語学の松本博士の環太平洋言語圏論よりは荒いですが通底し、かつ、昨年の「足跡」発見でむしろ松本博士の論と共に、半世紀の埃を払ってその輝きを放つ注目すべきものなのです。そして、そのことは新定説化の「3フェーズ史観」と相まって、改めて出発地候補の北海道に目を向けさせるものでもあります。膨大かつ容易でない言語分析ですから異論もあるでしょうが、両学者の研究成果は重要です。

子供に教え、世界に発信し、「日本人はどこから、何処へ」の解明のためにも、更なる国際共同研究の推進を、です。日本の学界の現状は、周回遅れです。

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