「アジアから来た」は学界で認識が一致、そして前回の顔と無氷回廊の開閉からの考察で、一般に何となく今も思われている大陸の内陸モンゴロイドのマンモス・ハンターが「最初の」ではないことが導かれ、環太平洋の沿岸民(語族:元日本言語学会長 松本博士))に光が当たりました。
そもそも①私たちの原郷と言うべきスンダランド(今は過半が海面下)地域は、洞窟絵に舟を描き、世界初の約90kmは海を越えてからオーストラリアに入って行き、その帆掛け舟(ラピタ人)は縦横無尽に広大な太平洋に乗り出して行った海の民で、近現代のスラウェシ海民は特に有名です。沿岸を北上し②約4万年前に北部九州に「渡海」し、何よりも3.8万年前と言う昔に伊豆の海を東京諸島(神津恩馳島)に黒耀石採取に行き来していた事が圧巻です。その始まりと島国である事から、③中世には倭寇と悪口を言われる東シナ海の覇者であり、その後、北前船が列島で活躍し、沖縄糸満の厳しい鍛錬の海の男たちがサバニを操る漁撈のスペシャリストとして知られている海民性(太平洋側も)を示しています。そして、④アジア人が、アメリカ北西岸をフネで入って来たとなれば関りが注目される北海道は、旧石器遺跡が701件とゲートウエイ発地に相応しい基盤で、東部シベリアやアラスカとは全く桁違いの充実です。
北千島・カムチャッカ南部に居たルートンは、石器・骨器を使っていた、縄文人的な竪穴住居を使用する、一家で移動して島々で暮らす、千kmを「遊動」した旧石器時代的 な海民であり、昭和12年の調査人骨からアイヌではない・以前であることを窺わせる注目の種族(現在は消滅)で、海民の伝統を受け継ぐ北海道祖人の関りの可能性を支持しています。関りが指摘されるアレウト族は、ロシア人もびっくりの北の海の海獣猟のスペシャリストです。問題はこれらのことが十分に世界に発信されず、子供に教育されていない事であり、北海道祖史・ルートンの研究解明が世界に期待されていることの認識が無いことです。抜本的な改善と国際共同研究が必要です。