Facebook: Nara Akira
フェニキアの活躍した更にずっと以前、そもそも我々に繋がる人類史の始まりはアフリカ東北部から紅海の海に乗り出したバンドから始まりますが、このことが現生人類史の原点なのではないかと考えています。
つまり、進化上サルから決定的に分かれたと言えるこの海へ乗り出したということにもっと注目する必要があると考えます。
第1に、私たち現生人類の体について、サルになる前のずっと遠い昔に海から上がった当時の痕跡を残しているのか、サルから分かれるころの前後に淡水の水辺で暮らしていたのか、ともかく水に馴染む幾つかの特徴があります。羊水から生まれますし。
何といっても人の一番の特徴はいずれ出産や言語にも影響してくる直立二足歩行ですが、水中では浮力が働き無理なくこの体型に移行していけます。
また、サルと違って体毛が薄く皮下脂肪が多いですが、水に戻ったクジラやアザラシなどは、水中での行動がし易く冷たい水温に対応するためそうなっています。
人間の手には水掻きの痕跡がある、赤ちゃんは泳げる、女性は水中出産ができ水中交尾もできるなどいろいろな特徴があります。感情で泣き、涙を流すこともコミュニケーション上の重要な特徴です。
そして、ヒトの場合、潜る前に大きく息を吸い水中では息をとめたり吐きだしたりと自由に呼吸することができますが、他の類人猿はできず水に潜れないという大きな違いがあります。
また、このことが「あ~~」と「あっ」の違いを自由にできることになり、やがて高度の言葉ができる体の構造上の基盤ともなっています。
気候変動で森の食料が減り水辺の食物に対応した、天敵であるヒョウやライオンなどのネコ科動物は水が苦手なので、水中は逃げ場所にもなり水辺は安心できる棲み処であったのではないか、などもこの進化をもたらしたものとも考えられます。
そして、湖・川辺からやがて海水域への適応はそう無理なことではないでしょう。
この食べる食品の幅の広さ、棲み処の幅の広さという適応性(当初は寒冷降雪地を除く。)が、海水面が低下し移動しやすい安全な海浜が拡がった氷河・乾燥期にも人口を増やしながらまずは東南方世界に進出していけた理由でしょう。
そして、海浜のマングローブという地形の特色への適応も注目されます。
(Wikipedia マングローブ)
干潟の性質を持ちつつ、そこに樹木が密生する場所である。干潟は、河川上流からや海から供給される有機物が集まって分解される場所であるため、非常に生産力の大きい環境であり、多くの生物の活動が見られる場所である。
主要な動物は海産の底生生物(甲殻類や貝類等)や魚類であるが、哺乳類や鳥類、昆虫類なども利用している。アイゴ類やハゼ類など、多くの小魚がみられ、さらにそれらを捕食するフエダイ類やオオウナギなどの大型魚もいる。
マングローブが自然の防波堤となることで、津波の人への被害の原因となる漂流物体が食い止められるというものである。紅海では砂漠の沿岸でマングローブの形成が試みられている。
今回、マラッカ海峡に面するスマトラ島の北部・東部を旅し、考古学研究所や博物館などを訪れました。容易に想像できますが、万年の昔から環境に適応し海浜・川岸の民として出アフリカを果たした現生人類が生きてきたことを実感しました。
鉄も溶ける万年の時の長さに貝塚以外には残る物が殆どなく、生活の場は今は海底ですし、どうしても遺物が残る洞窟の生活に考古学の注目が集まりますが、それは明らかに少数派のことです。洞窟が収容できる人数など明らかに限りがありますし。
このことをまず歴史の事実ではなく真実として、記述の中心に据える必要があります。
そのことから、海・川の交易が、一部の狩猟と栽培・家畜・工芸品などが、埋葬などの習俗が、そして階層ある社会の組織化がもっと早い時代に果たされていたことが推定されます。
これまで等閑に付されていたメソポタミア文明以前の最終氷河期(2万年前頃)に遡るいわゆる石器人の活動力を見直す必要があります。
即ち、石器人と呼ぶよりも”低地の水辺人社会”というべき生活実態を持った人たちによるサルの社会と決定的に異なる活動力を有する人間の「文明の曙」時代・原点と認識すべきです。
トルコ東南部のギョベクリ・テペ遺跡では、驚きの巨石建造物が、1.2万年前頃に大規模に造られ続けています。
このホームページで既にお伝えした海浜・舟行ルートによる寒冷降雪地適応を受けていない現生人類・日本祖人のアメリカ進出の可能性などもその1例です。
小学生くらいはスマホなどから解き放ち、仕事で忙しい大人たちもレジャーで焚火と水辺に親しむようにもっと社会的に野外活動の環境を整えましょう。
そうすれば、眠っている日本祖人のDNA要素が活き活きして本来の日本人らしい健全な人間味を取り戻し、勉強・仕事の能率も上がり、殺伐とした事件もずっと減るのではと南のこの地で思い至ります。
(了)