世界の考古学研究で人類の新大陸アメリカ進入に①昆布ハイウェイ説が、②環太平洋の石器の類似性が、そして③言語でも類縁性が指摘されていますが、北海道史が始まり時代に北へ出て行った面が軽視されている事は、オリンピックを前に早急に改善すべき大きな問題です。
第1図米国の学者Dr.Earlandsonなどのチームの検討により、人類史の最後の謎である「最初のアメリカ人」問題で、シベリアからの陸路ベーリング地峡進入という定説に対し、昆布ハイウェイ説が打ち出されて北太平洋の種々の状況を論じたのは10年前です。日本、千島列島、沖縄への海民のフネによる移住などが登場し最終氷期最寒期LGM直後の移住の可能性に注目していますが、重要な伊豆の海での行き来や北海道史の重要性などにまでは触れられておらず、また、千島列島越えなどの更なる研究の必要が訴えられています。一方、石器については、米国先住民の有茎石器に着目し、シベリアやカムチャッカ半島で発見された物の研究がなされたが、地域における時代的に古い物については海水面の上昇や津波などもあり発見が容易ではないものの、発見された物の大きさや形態に類似性があるとしています。北海道でも多くの同種石器が発見されていますので、分析研究が待たれます。「最初のアメリカ人」問題については、多様な様相とみられ、陸路から、特に海洋沿岸からの研究アプローチの重要性を、このEarlandsonチームは強調しています。
現在の北海道史は、余りにも北から入って来た面が強調されていて、始まり時代に出て行った可能性の面が無視されていますが、日本祖人Proto-Japaneseが、青森から北上して来て更に続けていった面の研究を世界人類史は求めています。すでに報告した言語面の環太平洋の類縁性研究の深化・発信とともに、当時の総合的な環境分析アプローチによる「最初のアメリカ人」の進入ルートと時期の理論的な解明寄与が重要と考えます。
さて夏のコロナ自粛の読書に祖代初登場の時代小説をどうぞ。「脱線の海道」ブログURL:http://www.sunda-wind.net/news/8663