南アの海岸の考古学的に有名なブロンボス洞窟で、下写真左のように、赤色“クレヨン”で石に線が描かれているのが発見(ノルウェー・南アの大学による)され、7.3万年前で世界最古のモノだと英BBCが報じました。
最近の発見(北西アフリカ)では、最古の現生人類が31.5万年前と大幅に古く記録を塗り替え(20万年前から)ました。
この線描発見の意義は、現生人類がはっきりと抽象的な認知力を有して意図的に描いた最古のモノと言う事です。芸術とまでは言えないのでしょうが。
更に、この人々が海岸で水産物を食していたことに私は注目します。サルともライオンともはっきり異なる暮らしです。
おそらく浅い海を越えてアラビア半島南端沿いに出アフリカを果たした種族の子孫が、数十kmの海を舟・筏で渡って6.5~5万年前には豪州に進出しています。
緯度が同様の暖かい(当時は氷河期)地域への展開は早いですが、北上して行くのは適応に期間を要します。
そして、4万年前頃に九州に舟・筏で渡って来て、「日本祖人」(注:縄文人の先代)は、3万年前頃には雪と寒さの北海道にまで拡がりました。
注目すべきは、この4~3万年前がおそらくまず動かない歴史的な意義なのです。
仮に万が一、アフリカのようにもっと古い痕跡が発見されたとしても、それは旧人であって直接の祖先ではないですし、新人の物だとしてもせいぜい当時の冒険者のギネス的な意味に留まるものでしょう。
これまで発見された列島の1万件を超える旧石器遺跡の状況からそう考えます。
問題は、上写真右のように世界でも極めて貴重な、異論のないこの4~3万年前という意義ある日本史始まりの内容を、子供たちに教えていない事です。
(了)