徳川幕府誕生の昔頃から活字にも残っている小人話は、北海道でアイヌによって千島に追われ、千島列島から北海道に土器を作る土を取りに来ては脅かされて隠れた背の小さい人たちについてのものです。
遠州灘から北海へ漂流してしまった者のアイヌから聞いた話は、何よりもデタラメを言う理由もないリアルな口上書(奉行所提出)に書かれたものです。
私たちは今や現生人類の出アフリカから、4万年前に日本列島に渡来して北上した歴史の流れを知り、また、プロトマレー人、フィリピンのネグリト、南九州・南西諸島の背の高くない人たちがいる状況などを知ってますので、先人の話は大変興味を惹かれます。
現在この話が注目されていない理由は、江戸時代の話から約240年経った明治半ば過ぎに、高名な研究者が北千島に行って見たがそういう小人は居なかった、皆、千島アイヌだったと報告したことが影響しています。
しかしその240年間には、北海道アイヌの千島進出に加えてカムチャッカ半島からのクリル族などの南下が考えられますので、ひっそりと逃げ回るように暮らしていた人たちが見つからなくなっていたのは十分あり得ることです。
またその時代は、貪欲なロシア人、インドネシアのバタビアから北上航海して樺太や得撫島に行ったオランダ人などがいましたので、それらの記録に何かあれば大ヒットなんですが。
ま、いずれにしましても人類史の流れを考えますと、見つからないから無かった、ではダメでしょうと思うのです。
(了)